歯科医師になるには

歯科医師国家試験と研修

歯科医師

歯医者への道

歯科医師になるには歯科大学もしくは大学歯学部を卒業して歯科医師国家試験に合格したのち、1年以上の研修を受ける必要があります。 歯科医師国家試験の難易度は年々上がっており合格率は低下傾向にあります。歯科大学・大学歯学部は公立と私立で卒業までにかかる費用に8倍ほどの差があり、そのため国公立に人気が集まっています。 逆に私立の中には倍率が1.1倍などほぼ競争のない状況となっている学校もあるようです。具体的には歯科医師になるために大学の学費だけでも公立で350万円、私立であれば2,800万円ほど必要となります。
この初期費用が高額なうえ、卒業後の勤務医としての給料は安いので最初のうちは金銭面で苦労する場合があります。そのため資金に余裕がある人でないと歯科医師になりにくいでしょう。 国家試験合格後は1年間の臨床研修を行い、研修が終わったら歯科医院などに勤務医として就職します。 他の医師と比較すると歯科医師は開業医の割合が8割程度と非常に高く、大学病院などの大きな病院での勤務医としての枠は多くはありません。 自分で開業する、勤務医として働く以外には大学などで研究をするという選択もあります。

歯科医師に求められる能力

歯科医師として働くには、他の歯科医師に負けない技術が必要になります。歯科医師が過剰になりつつある現代では、歯科医師を続けていくためには他の歯科医師よりも優れた技術を持つ必要があるのです。 独立して開業を考えているのであれば、小児歯科や予防歯科、歯列矯正、審美歯科など、虫歯の治療だけではなく長い期間患者に通ってもらえるようトータル的な歯科診療を目指す必要も出てくるでしょう。 優れた技術を持つ歯科医院ほど口コミで人気も広がり患者も多くなるので、常に技術向上のための勉強も必要です。そして歯科医師のスキルとして必要なのは手先の器用さです。 口の中の狭い範囲でさまざまな器具を使って治療を行うため、器用さや繊細さがとても重要になってきます。
また歯科医師としての技術だけでなく、患者と接するため人柄も大切です。近年では歯科医院の数も増えていますので、単に施術がうまいというだけでなく歯科医院の雰囲気も大切になっています。 患者に対して親身になって接し、親しみを持たれるような歯科医師のほうが患者にも喜ばれるでしょう。歯科医院では歯科衛生士や歯科助手とのチームワークも大切となりますので、患者に対してだけでなく仕事仲間とのコミュニケーション能力も必要です。

歯科医師の今後

歯科医師の人数、歯科医院の数は年々増えていると言われています。毎年多くの学生が歯学部を卒業していますが、高齢で引退する歯科医師の数はそれほど多くないからです。 歯科医院の数はコンビニよりも多いと言われており、飽和状態にあり患者がこなくて廃業というケースも増えてきている状態です。 歯科診療所数は年々増加を続けており、平成22年の歯科診療所数の数は約7万となっています。 人口比で特に多いのは東京都、福岡県、徳島県です。歯科医師がこれ以上増えすぎないようにするために、近年では歯科医師国家試験の難易度が上がっています。
このように歯科医院を取り巻く状況は厳しさを見せていますが、歯を美しく見せる審美歯科など虫歯の治療以外に新たなサービスも出てきており、 他の歯科医院との差別化により売上を伸ばしている歯科医院も存在します。そして歯の健康を守る歯科医師という仕事は今後もなくなることはありません。 丁寧な仕事をして顧客がつけば安定収入が見込めます。歯科医師になれば安泰というわけではありませんが、しっかりと技術を身に付け患者に信頼されるよう努力をすれば、経営していくことは可能でしょう。歯科医師として長く続けたいのであれば、常に技術を磨くことが必要となります。